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炭焼き窯を訪ねて~里山の循環とともにある暮らし


先日、山田町にお住まいの森口さんの炭焼き窯を見学する機会をいただきました。


県道から雑木林へと足を踏み入れると、薪を割る音が静かな山に響き、白い煙がゆるやかに立ち昇っています。さらに奥へ進むと、想像していた以上に素朴な土の窯が姿を現しました。

森口さんは、ご自身が所有する山の木を使い、年に2回ほど炭焼きを行っています。今回はそれに加え、山の手入れや里山の循環に関心を寄せる若い世代とともに、山田教育キャンプ場に隣接する雑木林の伐採から炭焼きまでを行っているとのことでした。


火入れから2日目の様子。煙の様子を見ながら、3日〜4日目に入り口と排煙口塞いで、1週間ほど冷まして完成するそうです。
火入れから2日目の様子。煙の様子を見ながら、3日〜4日目に入り口と排煙口塞いで、1週間ほど冷まして完成するそうです。

森口さんが炭焼きを始めたのは、平成15年頃、40代のときでした。


「地域の老人会で、炭焼きを復活させようという話になってね。おっちゃんたちに教えてほしいと頼んだんです」と振り返ります。


技術を教えてくれた方は現在90代。今もご近所でお元気に暮らしているそうです。

現在は伐採した木を車で運びますが、かつては作業現場ごとに炭窯を築いていたといいます。


「炭窯自体は、ほぼ土だからね」


窯は粘土質の土を盛ってつくられ、役目を終えればその土は元の場所へと戻されます。山からいただき、山へ還す。そこにも循環の姿がありました。


10日後の窯出しには、森口さんに教わる30〜40代の方々の姿もありました。


炭窯の土を丁寧に崩していくと、黒く締まった炭が少しずつ姿を現します。



入り口の粘土質の土を崩し、炭を取り出す窯出しの作業。
入り口の粘土質の土を崩し、炭を取り出す窯出しの作業。

その様子を、森口さんは窯の脇で穏やかに見守っていました。


かつて自分が教わった炭焼きが、今は次の世代へと手渡されています。技術だけでなく、山との向き合い方もまた、静かに受け継がれているように感じました。



次の、次の世代も見つめています。
次の、次の世代も見つめています。






かつて里山では、薪や炭は暮らしに欠かせない燃料でした。


木を伐ることは資源をいただく行為であると同時に、山を整える営みでもありました。適切に手入れをすることで林内に光が入り、下草が育ち、多様な生きものが生息しやすい環境が保たれてきたといわれています。

近年、獣害被害が課題として挙げられています。その背景にはさまざまな要因がありますが、里山の手入れが行き届きにくくなっていることも一因と考えられています。


山の手入れについて、森口さんは穏やかにこう話してくださいました。


「手入れしていけば、動物も奥のほうで住みやすくなるわな」

人と動物が対立するのではなく、それぞれが安心して暮らせる環境を整えること。


人が山に関わることは、自然を支配することではなく、互いの暮らしの場を守ることなのだと感じました。



こうした炭焼きの営みは、地域の学校にも広がっています。森口さんに教わり、福住小中学校の探究学習においても炭作りが行われています。

数回の炭作りを重ねる中で、「難しさはありますが、生徒と教師ともに試行錯誤しながら楽しく取り組んでいます」と、炭焼きを担当している宇高先生は話します。

地域で受け継がれてきた技術や山との向き合い方が、教育の場へ受け継がれようとしています。


福住小中学校に設置された炭焼き窯。探究学習の一環として炭焼きが行われています。
福住小中学校に設置された炭焼き窯。探究学習の一環として炭焼きが行われています。

炭を焼くという営みは、木を炭に変える作業であると同時に、山を整え、世代をつなぎ、地域の循環を支える営みでもあります。

里山は、人と自然が共に生きる関係を築いてきた場所です。


その視点が地域の教育の現場にも息づいてきていることに、これからの里山の姿を見る思いがしました。






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