長滝町ハーブ栽培グループ 穴田宣明さんインタビュー
天理市のオーガニックビレッジ宣言(2024年3月)がスタートするにあたり、福住校区では「福住村塾」などの学びの場を開いてきました。ハーブはオーガニック農法で育てやすく、香りを楽しめたり暮らしに取り入れやすいことから、協同のハーブ畑で講座を兼ねた実験的な形でハーブ栽培に取り組みました。
この地域に合うハーブを見つけるために、十数種類のものをいろいろ植えてみて、その中で特によく育った土地に合うものを選んでいきました。

2024年度に校区内でハーブ栽培の募集があり、長滝町はグループで参加をしています。畑では、ローズゼラニウム、レモングラス、レモンバームなどのハーブを育てて、出荷しています。
納品したハーブは、高原地域で自然栽培された茶葉と合わせたブレンドティーに加工されています。

穴田さんは、知人が畑をやめるタイミングで、その土地で始めてみようと思ったといいます。
「やりたいけれど、僕1人ではできない」
最初に、賛同してもらえそうな年長の方に相談すると、「みんなにも話してみぃ」と助言してくれて、地域の集会で、やってみたいと伝えたそうです。
「13世帯20人くらいが入ったかな。ハーブを植えて、残った場所には、子どもたちが楽しめるように、さつまいもも植えました。紅はるかとシルクスイートなど、品種の違うものを植えて食べ比べてみたり、焼き芋にしたり……」
獣害除けに購入した柵の分も頑張ろうと、励みにしていたそうです。


大事にしているのは「無理しないこと」
それと、もう一つ大事にしているのが、「移住してきた人も入りやすい場所であること」。
「また来いさ〜と気軽に来はったら交流できますやん。長滝は周りの集落から少し離れた小さい村で、昔から団結力が強く、助け合って生きてきました。移住してきた人も、自然豊かなこの地域で、関係性を育みながら住みたいと思ってくれているから、うまくいってると思う」
移住者が増え始めたここ数年を振り返りながら、そう話します。


穴田さんが「やってみたい」と安心してみんなに話せた背景には、2016年に長滝復興堂本舗さんが中心となり開催された「大和川源流体験」がありました。
(大和川源流体験ツアーは2016年、2017年に行われ、その後、親子体験ツアーとして2018年、2019年に開催)
町外からたくさんの親子が参加し、せせらぎで涼をとりながら竹の水鉄砲づくりなどを楽しみ、賑わいました。

この体験会で、声をかけたらみんながやってくれる姿を見てきたことも、穴田さんを後押ししてくれたそうです。
ハーブ畑の作業は、その日行ける人たちでしているそうです。
「みんな自分のできることをしている。
無理をすると喧嘩になることもあるからね。でも、行けへんは言わなあかん。それと、ちょこちょこ顔出すことも大事なんや」
穴田さんのこの言葉に、ハーブ畑に家族で参加している中村さんは、
「穴田さんがこういうスタンスでいてくれるので、意見を言いやすいんです」
と話します。

人が集まり、灯りがともる
穴田さんは、2020年からお盆に「灯火会」を企画し、竹で手作りした灯籠にあかりを灯しています。空き地と呼ばれる広場はこの日、幻想的な景色に包まれます。2023年からは、灯火会と同時に夏祭りも行われています。
灯火会自体は、20年ほど前から、穴田さんが大晦日に神社の参道を彩るために続けてきたものです。
村の高齢化もあり、夜に参拝される方も少なくなったことから、2020年からは、気候もよい8月に行っているそうです。
あるとき、家族で移住してきた中村さんや子どもたちから「盆踊りがしたい」と声があがりました。
「やったれ」
と、地元の支えもあり、この年から活動を始めたこども会が企画に関わっています。
灯籠のあかりのもとに人が集まり、地域の人と移住してきた人、子どもたちが一緒に過ごす。
長滝町では、こうした小さな活動の一つひとつが、人と人との関係をつないでいるようです。

「長滝は明るくて、ほっとします」
穴田さんにとって、長滝町はどんなところか聞いてみました。
「夜帰ってくると、長滝は明るくてほっとします。
お帰りなさいと明かりがついている。門灯を9時頃までつけていて、それはどうぞと言っているように感じます。
それだけ気持ちが解放しているのかもしれないと思っています」
2025年4月末「空き地」と呼ばれる広場で、お話を聞かせてもらいました。
広場からは、鯉のぼりが泳ぐ姿が望めました。長滝町で活動する子どもたちへと贈られた鯉のぼりは、数日前にみんなで建てたといいます。
屋根より高く、空高く。大きな真鯉も小さな真鯉も、気持ちよさそうに泳いでいました。
人が集まり、声をかけ合い、できる人ができることをする。
そんな長滝町の日々の暮らしの中には、昔から続いてきた助け合いがあります。
移住してきた人も、その輪の中に入り、関係性を育みながら暮らしていく。
ハーブ畑に集まる人たちも、夏祭りを楽しむ子どもたちも、灯籠にあかりを灯す人たちも。
長滝町にともる一つひとつの灯りは、そこに暮らす人たちのつながりを、そっと照らしているようです。


※「里山三年晩茶ハーブブレンド」
耕作放棄茶畑の再生プロジェクトとして2022年に誕生した「里山三年晩茶」にハーブを組み合わせたブレンドティー。大和高原で自然栽培のお茶を製造販売されている健一自然農園さんで購入できます。
※長滝復興堂本舗 (天理市のWEBサイト「めぐみめぐるてんり てんりせいかつ」より)




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